「……、なんですか急に」
「積極的に迫ってる割には言わねえんだな〜って」
「………」
積極的に迫ってるのは、確かだ。
自分らしくないとは思いながらもそうなってしまうのは、彼女のことになると途端に我を忘れてしまうからで。
「ルノは、やさしいから。
言っちゃうのが……ふあん、なんだよね」
なんとも言えない沈黙の中に、ルアのふわふわとしたやわらかい言葉が落ちる。
見透かしたようなグレーの瞳に、くっと息を詰めた。……その通りだから。
強い感情であればあるほど共鳴する。
だからきっと、俺の南々先輩に対する感情が何度か、ルアにも共鳴しているんだろう。いいことでも悪いことでも、同じだけ。
「ぼくのことがあったから、でしょ?」
「………」
「まただれか傷つけちゃうんじゃないかって、
ルノはこわくなってるだけだよね」
……そうだよ。
俺のせいでルアは部屋から出てこなくなった。別にルアは周りが言うほど出来が悪いわけじゃない。なのにそのルアが悪く言われたんだ。
ただ、双子の弟ってだけで。
……それじゃあ、俺が彼女のことを好きだと言えば?
ロイヤル部に所属しただけで、まわりから陰口を叩かれることだってあった南々先輩。
実際には拉致までされて。クラスの女の子たちともだいぶ打ち解けたと言っていたけど、もし俺が好きだなんて言い出したら?
今度こそ南々先輩が傷つくかもしれない。
姫の立ち位置を恨んでる子だって、この巨大な学園の中じゃきっと少なからずいる。