「癒しが欲しい……
南々ちゃんもどってきたら抱きしめたい……」
「セクハラですよ」
「セクハラじゃねえし。
っていうかるーちゃんこの間キスしてたじゃん……!なんかみんなしれっと流したけど頰にキスしてたじゃん……!」
「あれは愛情表現であってセクハラじゃないです」
「可愛くない後輩!」
よっぽど作業に飽きてきたのか、叫ぶように言って紅茶のカップに口をつけている椛先輩。
……そういえばこの人機械系嫌いなんだったか。
スマホで色々やってるように見えるけど、彼のスマホの中身は必要最低限だけの連絡先と、その相手とやり取りできるメッセージアプリくらい。
あとは弟や妹の画像がほとんどで、彼のスマホに入っているゲームも、弟や妹が遊ぶためのものだ。いつ誰に見られてもいいって言ってたし。
「じゃあパソコン作業変わるので、
椛先輩はこっちの書類作業やっててください」
「……そういうことでもないんだけどねえ」
生徒会のパソコンは資料が共有できるようになっているから、先輩に保存してもらったデータにアクセスする。
椛先輩が書類を手にとって、かさ、と紙の擦れる音がした時。
「そういやるーちゃん。
……南々ちゃんに、告白しねえの?」
「………」
唐突な発言に、顔を上げる。
それからちらりといつみ先輩を盗み見れば、彼の目元にあるのは黒縁メガネ。
もともといつみ先輩は視力が良くない。普段はコンタクトだけど、一定時間を過ぎるとメガネに変わる。
最近はパソコン作業と書類作業で相当目が疲れているのか、メガネをしている頻度が高い。