◆ Sideルノ



夏休みが明けて、約1週間とすこし。

暦の上では9月になったし、2日が誕生日の莉央さんのこともみんなで祝った。文化祭は9月下旬の週末で、規模が大きいため王学は1日だけ。



そしてその規模が大きい文化祭のために、見たくもないほど山ほどの作業をみんなでこなしている。

何が救いかって、ロイヤル部は自分のクラスの出し物に参加しなくても良いということだ。参加してもいいし、しなくてもいい。



だから俺らは相変わらずC棟に篭りっぱなしで。



「……ああ〜、癒しが欲しい」



「椛先輩うるさいです」



「………」



C棟の中は、微妙な空気が流れてる。

全員が仕事疲れ。……あとは、そう。




「なー、南々瀬呼び戻さねー?」



「やめておきなさい。

せっかく教室でお手伝いしてるんだから」



この場所に南々先輩がいないってことだ。

彼女はなぜか俺らが回し切れない仕事を山ほど請け負ってるはずなのにすぐさまこなしてしまうし、作業がかなり早い。



南々先輩がいるから仕事は回しやすくなったし、この間なんて手が空いたタイミングで俺らが取り掛かる前の作業の仕分けまでやってくれてたし。

……本当に何者なんだろうと思う時がある。



まあそれはさておき。

彼女はその山ほどの作業を終わらせて授業や文化祭の手伝いに行ってしまうため、最近はあまりC棟にいない。……でも。



「放課後に寄るって言ってたぞ」



それを抜きにしても、最近の関係性はどことなく曖昧だ。

……理由なんてわかりきってるけど。