【完】こちら王宮学園ロイヤル部




覗き込んだ鍋の中にはチーズ。

さっきIHプレートある?と聞かれたから貸したのだけれど、これのためか。……無かったらどうする気だったんだろう。



「南々ちゃん、すげえチーズ好きだろ~?」



「……よくご存知で」



「だからチーズ堪能できんのって何かな~と思って、チーズフォンデュにした~。

よっしゃ準備できたからはじめるぞ~」



はじめて先輩に好きな食べ物は?と聞かれた時もグラタンと答えたけれど、ざっくり言えばチーズが好きで。

グラタンはもちろんカルボナーラを作ってくれたこともあるし、旅行でもラクレットチーズを使っていた。



どうやらわたしがチーズ好きなのはバレていたらしい。

……まあバレるわよね。そりゃあね。



テーブルに運ばれてくるのはチーズフォンデュに使う食材。

ブロッコリー、ウインナー、プチトマト、バゲット、シーフードミックス、さらにはフライドポテトや生ハムなんかも用意されていた。




「ねえ椛」



「ん?」



「……これは?」



その中でひとつ、気になるものがあって。

丸いそれを指させば彼は「一口ハンバーグ」と一言。どうやらハンバーグの材料を混ぜた後に一口サイズに丸めたまま焼いたらしく。



「チーズハンバーグってあるじゃん。

だからハンバーグもイケんじゃねえかな~と思って、俺が自己判断で用意した」



……なるほど。

ハンバーグってチーズが中に入ってるものもあれば上にかかってるものもあるし、案外いけるかもしれない。



そう納得してみんなでチーズフォンデュ開始。

わたしの一人暮らしの家にたくさんお皿がないかもしれない、ということまで見越して紙皿まで買ってきてくれたところは流石すぎると思う。