ええと、と一瞬考えてから。

「どうぞ」と扉を開き、コンシェルジュの彼に、次回からこの6人は通しても大丈夫だと告げて、それからわたしも家の中に引き返す。



「マジでお前こんなとこに住んでんだな」



「なんていうか、全体的に殺風景よね」



莉央と夕帆先輩の言葉に、思わず苦笑して。

それからリビングの片隅に充電したままだったスマホを手に取り電源を入れると、みさとや大和、0時ちょうどには夕陽から『誕生日おめでとう』の連絡が入っていた。



「好きに寛いでてください」



「あ、南々先輩。

キッチン借りても大丈夫であれば僕と椛先輩でやりますよ。南々先輩は本日の主役ですから」



「え、いや、別に主役ってほどじゃ」




ただ誕生日なだけで、大したことなんてないのに。

いつみ先輩に「お前は座ってればいい」と言われてしまったから、「好きに使って」とふたりにお願いする。



よく見れば椛と莉央は袋を持ってるし、ルノの手には『Juliet』のロゴが入った箱。

中身はおそらくケーキだろうし。……もしかして本当に誕生日を祝いに来てくれたんだろうか。



「南々ちゃ〜ん。

ケーキ冷やすのに冷蔵庫開けていい〜?」



「あ、うん。いいわよ。

何か使うのに場所わからなかったら聞いてね」



……なんだか家に誰かいるなんて不思議な感じだ。

先輩のことを避けていた夏休み終わりの数日で掃除したから、見られて困るようなところはないと思うけど。



「ななせ」



キッチンの様子を伺いながらソファに腰掛けていたら、甘えてくるのはルアで。

いつものように優しく髪を撫でてあげると、めずらしくじっとわたしを見ている彼。