日曜日、午前10時。

始業式は金曜日だったため、土日は休みで。昨日買い物も済ませたから、あとでレンタルショップに行ってDVDでも借りてこようかな、と。



そう決めていつもよりすこし遅めの朝食に使ったお皿を洗い終え、キュッと水道を止めた時。

ポーン、と鳴り響くのは家のチャイム。



音にまで高級感があるそれはルームフォンのつながる1階ではなく、部屋の前で鳴らされたもの。

普段なら来客にしろ宅配にしろルームフォンでコンシェルジュの男性から連絡が来るのに、と。



扉のチェーンをかけたまま「はい」とおそるおそる開けてみれば。



「えっ……」



予想外の展開に、一瞬驚く。

それから一度扉を閉めてチェーンを外し、もう一度開ける。けれどやっぱり広がる光景は、一度目と変わらなかった。



「おはようございます姫川様。

普段はルームフォンに連絡させていただくのですが、"サプライズにしてほしい"とのことでしたので、念のため同行させていただきました」




そう言ってコンシェルジュの彼が微笑む。

その後ろにはなぜか、ロイヤル部の面々。



「さ、ぷらいず……?」



この状況を理解しきれないわたしに、みんなはくすくす笑ってるけど。

本当にわからない。確かに突然のアポなし訪問にはびっくりした。驚かせるという意味でのサプライズは大成功だと思う。



だから、なんのため?と。

考え込んだわたしと目があったいつみ先輩は。



「お前、今日誕生日だろ」



その一言で、

乱れていたわたしの思考をぴたりと止めた。



そう、か……今日って8月27日か。