バシッと一言言われてしまうけど、わたしも何でだろうって思ってる。
なんでだろうって思うけど。……うっかりどこかで好きになっちゃったんだから仕方ない。
「"された"話は?」
「……告白されました」
「誰に」
「いつみ先輩……」
言えば、ふたりとも「は?」って顔をする。
わかる。言いたいことはよくわかる。だってそれだけ聞くと完全に両想いなんだものね。そして実質両想いなのは本当なのだ。
わたしが困ってるのは、別れのタイムリミット。
「好きで、しかも相手に告白されたんだよね……?
なら、珠王先輩と付き合いなよ!?返事してないの!?」
「お前は相変わらず両想いの相手を逃すのが得意だなコラ。
さっさと「わたしも好きです」って返事してこいふざけんな」
ふたりにそうやって怒られるけれど、「でも……」と渋るわたし。
冬にはわたしはここを発つ。しかもただの留学どころか一生戻ってこないとなれば、彼にとってはただ迷惑なだけじゃないか。
「……でもじゃねえよ。
何のために俺がお前のことあきらめたと思ってんだ」
「………」
……そうなんだけど。
さすがにふたりに、冬には日本にもう二度と戻ってこないとは言えないし。
どうしよう……、と。
あの旅行から帰ってきた日からずっと、尽きない悩みだけが、ひたすらに頭を回る。