「……ならいい。
南々瀬、いくみが花火用意してくれたらしいぞ」
「……えっ、ほんとですか?」
「……そこは意外と食いつくんだな」
「花火ってひさしぶりなので……
アメリカでも見る機会はあったんですけどね」
あとでするんですか?って聞いたら、彼はふっと笑って「したいんだろ?」って言ってくれた。
子ども扱いされているけれど、どうやらわたしのために付き合ってくれるらしい。
「っていうかさぁ、問題は部屋割りじゃねえ?
ここ客室1階3部屋で2階も3部屋だったし、6部屋しかねえじゃん」
……え、そうなのか。
ということは誰かが同じ部屋?と思っていれば、アクアパッツァを口に入れて咀嚼した椛は、「しかもさぁ」と言葉を続ける。
「全室クイーンベッドだったんだけど〜。
……男ふたりでクイーンベッドはキツくねえ?」
絵面が、と。付け足す彼。
クイーンベッドの大きさって馴染みがないからあまりわかってないけど、確かにまあ、高校生ともなればそれなりに体格があるし。その気持ちはわかる。
……あれ?待って。
「え、わたしが誰かと同じベッドで寝るの?」
「俺でいいだろ」
「なんで当然みたいな顔してるんですかいつみ先輩。
僕と一緒に寝ませんか? 南々先輩」
「典型的なロールキャベツ男子のるーちゃんは黙ろうか〜。
南々ちゃん、俺と一緒の部屋で寝よ〜?」