……そんぐらいあいつにとって南々瀬は大事なんだろうけど。

暇さえあれば掛けてくるって、相手のこと好きでもなかなか出来ねーよな。



「雑誌で『彼女から見た彼氏ショット』っていうのを撮影したらしいんですけど……

「ぜんぶシチュエーションをナナで想像して撮影した」とかいちいち報告してくるんですよ……?」



「……健気だねえ」



「朝一番に電話かけてきて、「起きた?ナナ専用のモーニングコールだよ」って言うんですよ?」



「あいつ一周回ってアホだな」



どんだけ好きなんだよ。

つーか、フラれてからの方が積極的だな。南々瀬も、最近は前ほどあいつに冷たくねーし。



……まあ、ほかのヤツがそれでも夕陽の距離感に何も言わねーのは、南々瀬にその気がないっていうのがデカい。

夕陽にとっては何も面白くねーだろうけど、南々瀬が夕陽と復縁することは無いだろうし。




「それより、バーベキューするんでしょ。

せっかく買い出ししてきたんだから、そろそろはじめるわよ」



「はいよ〜。

姫にしんどい準備させるワケにいかねえから、南々ちゃんは食材の仕込み手伝って〜」



「ルアは、そっちでルノの面倒見てて」



テラスの隅にある水道で足を洗ってから、椛と一緒に別荘へと食材を取りに行く南々瀬。

ルノが端へと移動したのを見てチェアとテーブルを隅に追いやってスペースをつくり、別荘にあったバーベキューセットを準備する。



「……バーベキューすんの久々だな」



「あんた1年の頃は、スポーツ科の子たちとご飯行ったりアウトドアでスポーツしてくるって出掛けてたわよね。

最近は全然行かなくなったけど」



「時間合わなくなったんだよ」