「……どうしよう莉央」
「あー?」
「……姫がすげえ可愛く見える」
どういう原理だほんとに。
誰かを好きになったら世界が輝いて見えるなんて普通に考えてちょっと馬鹿にしてたけど、フィルターがかかったように彼女の魅力だけが増して見える。
「……感情って究極までいくと真顔になるんだな」
「冷静に分析してねえでどうにかしてマジで。
あの白いうなじに噛み付きたい」
なんかもう自分でもわけのわからない発言してるし。
盗撮といいこれといい、俺そろそろ変態確定されそうな勢いなんだけど。いや男はみーんなケダモノだよねえ。……って。
「なあ、よく考えたら大人しい顔してがっつり狙ってるルノが一番あぶなくねえ?」
「……あいつ大人しくしてるだけで別に女経験がないとは言ってねーぞ」
「一番タチの悪い肉食じゃねえか」
離れろ。姫の貞操が危機だわ。
しれっととんでもねえ後輩に好かれてんな姫も。……っていうか、夕陽って手ぇ早いんじゃなかったっけ。待て待て、あいつとどこまで進展したの?
「ああもう……」
考え出したらキリがない。
ぺたぺたと歩み寄れば瑠璃が腕を伸ばしてきて、ひょいと抱き上げる。寂しいって言ってたルノの発言は嘘じゃなかったのか、ぎゅっと抱きついてきた。
「にぃに、ぎゅー」



