キスしろって迫ってたルノ。
しかも一人称は俺。どう考えても好き以外の何物でもないルノの反応に、気づいていないのはお姫様ただひとり。
「で、お前も好きってなったら喧嘩すんだろ」
「……誰が誰を?」
「お前があいつをだよ」
「いやいや……
俺べつに姫のこと好きなんて、」
言ってないし。
そう否定しようとした瞬間、莉央に「ほらな」と言われて言葉に詰まる。ほらな、の意味がわからなくて首を傾げたけど、考えればすぐにわかった。
こいつ今、「お前があいつを」って言った。
ってことは、誰も俺が姫を好きだなんて言ってないわけで。
「自爆……」
「……好きでもねー女の盗撮なんかしねーだろ」
「……好きな女盗撮するのもだいぶ変態っぽいけどねえ」
本当に可愛かったから、ちょっと写真におさめようと思っただけ。
セパレートの水着で、色が白と黒と紺っていう大人っぽいカラーなのに、デザインはドット柄で、その大人っぽさと幼さのバランスが可愛くて。
姫に、よく似合ってたから。
「好きになるかも、とは、ルノに言ったけど」
散々いままで遊び歩いてきた。
だけど俺の欲しい答えはずっと出なくて、だけどそんな俺にまっすぐに「心配」って言ってくれた彼女に、あっさり持っていかれた部分はある。