……盗撮?
「んなことしてな、
……おいこらるーちゃんスマホ返して」
してない、と否定しようとした椛の手から、ルノの手へとスマホが渡る。
それをぺぺっと操作した彼が、「ほら」と見せたのは明らかに盗撮であろうわたしの写真で。
「盗撮してんじゃねーかよ」
「しかも1枚じゃないんですよこれ」
「どう考えても変態を否定できねーな」
ルノと莉央にそう言われた椛は、スマホを取り返して「姫誤解だから怒んないで」って困ったような顔をしてるけど。
どこが誤解なのか説明してほしい。
「……わざわざ盗撮しなくても」
「気をつけてね、南々瀬ちゃん。
きっとこの写真を後で見返したときに、椛の脳内では南々瀬ちゃんがアレコレされちゃう妄想が、」
「……!! きわどい発言するのやめろ!!」
「だってそういう目的で盗撮したんでしょ?」
プールのふちギリギリまで歩み寄ってきた夕帆先輩が、心底楽しそうに椛を見下ろしているけれど。
その姿は完全に女王様。勝てる気がしない。
「マジで違うから。
確かにかわいいなと思って盗撮はしたけど、」
それは認めるけど!と、身振り手振りで徹底的に何かを否定している椛。
その様子をじっと見つめていたわたしの頭に後ろから腕が乗せられたかと思うと、いつみ先輩の「南々瀬」という声が耳に触れた。



