「姫〜。プール入らねえの〜?」
プールの中から声をかけられて、「いま行く」と返す。
羽織っていたパーカーを脱ぐと、夕帆先輩に「いってらっしゃい」と見送られて。そのままプールに入ろうと思ったけど、水位を見る限り意外と深い。
「ルノ、浮き輪借りていい?」
「はい。好きなの使ってください」
ルノとルアは相変わらず綺麗な瞳をしてる。
太陽の下にいると余計にそれが煌めいて見えて綺麗だ。ビーチサイドに置かれているのは浮き輪やらビーチボールやら。
そこから浮き輪をひとつ借りてようやくプールに入れば、ぱしゃぱしゃと足をばたつかせて近くに寄ってきてくれたのは瑠璃ちゃんで。
そばに来てえへへと笑ってくれるから、可愛すぎて抱きしめたくなる。いまは無理だけど。
泳ぐの上手ねって褒めてあげたらまた嬉しそうに笑うから最高にかわいい。
後から入ってきたいつみ先輩も、瑠璃ちゃんに優しげな視線を向けてあげていた。
「るり」
「すいちゃん」
今度そばに寄ってきたのは翡翠くんで、どうやら瑠璃ちゃんは彼のことが大好きらしい。
うれしそうに笑って翡翠くんの頰にキスしてるけど、あまりにも天使過ぎないだろうか。本当に誘拐されるんじゃないかと思うこの可愛さ。
翡翠くんも瑠璃ちゃんの頭を撫でてあげてるし、こんなにかわいすぎる双子がいる椛が心底羨ましい。
なんて思っていれば耳にカシャっという音が届いて、発信源を見れば、ばっちりかわいい双子の様子を写真におさめている椛の姿。
「……椛、スマホ濡れてるわよ」
「これ防水だから大丈夫〜。
おひめさまも一緒に撮ってやろうか〜?」
「……椛先輩。
さっき南々先輩のこと盗撮してましたよね」



