ロイヤル部の、姫探し。

ネットでホームページを立ち上げて行うほど大掛かりにやったそれは、いつみのためだった。



「いつみ……

4歳くらいの頃かしらね。父親が出席したパーティーに一度だけ付き合わされたことがあって、それにはあたしも一緒に行ったんだけど、」



そのパーティーには、出席者の子どもなんかもたくさん来ていて。

大人たちが楽しんでる間、子どもが退屈しないようにと広い別室が与えられていた。



いくみ姉は体調を崩したとかで来てなかったけど、俺といつみは参加していた。

夕陽はこの時1歳だし、そもそもあいつは俺と違って『女王』の名前を継いでいないから、こっちの仕事には関係ない。



子どもと、その面倒を見る大人しかいない別室の中で。

ふいに俺はお手洗いに行ってくるといつみに声をかけて出たのだけれど、もどってきたらその室内に幼なじみの姿がない。



部屋の中にいたら迷子になるわけないし、あんなに顔の整った幼なじみを4歳ながらに見間違えることもなくて。

どこにいったんだろうときょろきょろ周りを見回していたら、いつみが外から戻ってきた。



「いつみ!」




あわてて駆け寄れば、いつみは「夕帆」と呑気に俺を呼ぶけど。

どこに行ってたのかと聞いたら、夕帆がいなくて暇になったから外で暇つぶししてた、と。



何度でも言ってやろう。

このときの俺といつみは4歳だ。4歳。こんなマセたガキがいるかよ。夕陽の今のクソガキっぷりも大概だが、いつみも相当可愛げがない。



暇になったから外に出て暇つぶししてた4歳ってなんだよまじで。

これがいつみだから納得してやれるけど、もしそうじゃなかったらファンタジーの世界だぞ。魔法とか使えちゃうのと同じ次元扱いだぞ。



「ひまつぶし?」



「俺以外にも、外にいたんだよ」



「……は?」



「俺より、ひとつぐらい小せぇヤツ」