ぱちぱちと、瞬きしている夕帆先輩。
どうやら彼女は本当に、その言葉の意味を理解できないぐらい戸惑っているようで。
「は? はああああああ!?」
「うるさ……」
「え!?
南々瀬ちゃんのこの間言ってた元彼ってこいつのこと!?」
「まあ、はい……
半年だけ付き合ってたっていう、」
「だから呉と仲が良いって言ってたのね……」
わたしも再会の仕方がめちゃくちゃすぎて戸惑ってるけど。
まさか夕帆先輩の弟だと思わなかった。……っていうか、そもそもここが兄弟だと気づかなかった理由は、至極簡単なことで。
「夕陽、名字「赤沢」よね?」
「……親が離婚してて、兄貴は父親の名字」
「……ああ、なるほど」
だから気づかなかったのか……
いや、夕帆先輩が女装してなかったら気づいてたのかもしれないけど。あれ?でも、よく似てるって言ってたっけ?
「もしかして夕帆先輩……
NANAの弟だと知られないように、女装してるんですか?」
「んなわけないじゃんバカ?
コイツの女装はただの個人的な趣味。性癖」
「違ぇよ。
余計なこと言ってんじゃねえぞクソガキ」



