「いつみ先輩たちは、このあとどうするんですか?」
「今日はもう何もないですし、家来ます?」
「……え、早速?」
「はい。あ、椛先輩は呉と、あと瑠璃と翡翠も連れてきたら良いじゃないですか。
家に連絡入れて、昼食も人数分用意してもらいますよ」
……なん、か。
昼食を用意してもらう、という口ぶりに、驚いてしまうのはわたしだけなんだろうか。忘れそうになるけれど彼は正真正銘のお金持ちだ。
「姫理事長に呼び出されてんだろ〜?
んじゃあ、その間に俺先帰ってかわいい弟たち連れてそっち行くわ〜」
あ、そうだ。
わたし理事長に呼び出されてるんだった。
「じゃあわたしはすぐ理事長室行ってきますね。
終わったら、えっと、どこで待ち合わせしますか?」
「校門で良いんじゃない?
あたしも制服着替えたいから一回家帰ってから行くわ。じゃ、お先。行くわよ椛」
「はいよ〜」
夕帆先輩と椛が先に歩いていくのを見て、終わったら校門で、という約束をしてから、わたしは急いでドームを出て理事長室のある校舎へと向かう。
階段を駆け上がって扉をノックしようとして、ああそうだ防音だった……と扉の横にあるチャイムを鳴らした。
「いらっしゃい、姫ちゃん」
「失礼します……っ」
理事長室に入るのは、転校してきた時以来だ。
それを思い出して自然と背筋が伸びるけれど、理事長はその緊張をほぐすような優しい笑みを浮かべた。



