『続きまして、理事長のお話です』と。

滅多に生徒の前に姿を現すことのない人物の登場に、顔を上げた。質の良いスーツに身を包んだその人は、わたしの両側にいる双子の、父親。



『長話は苦手だから、本題に入ろうか。

まずはひとつめ、先日の定期考査の点数だね』



……ああ、そういえば。

学科ごとの点数制なんだったっけ、と広いステージのど真ん中に立つ彼を見つめる。双子と、よく似てる。



『総成績の結果、特進科に100点の加点』



ざわ、と周囲がざわめく。

わかっていたことだけれど、成績に関してはやはり特進科に勝てるわけがない。



『そして、今回の定期考査。

ひとりだけ全教科満点の生徒がいたのはもう有名な話だと思うけど、』



ばっと、視線が一気にわたしの方へと向けられる。

掲示板に貼り出されているのだから当然といえば当然だけど、わたしが満点を取ったのはどうやら有名になっているらしい。




『ボーナスでその子のいる普通科に100点。

普通科は点数が1.5倍制だから、合計150点の加点』



理事長がそう告げた瞬間、普通科側から歓声が上がる。

黙認してるからいいんだろうけど、そもそもわたしが受けたテストは特進科のものであって普通科のものじゃない。



『王学は体育祭が、10月の考査後。

そして次回の考査の点数は、全学科に点数を振り分けて入れることにしたから、頑張り次第ではどの学科でも優勝間違いなし』



おおおお、と、ドーム内が妙な盛り上がりを見せる。

「ななせすごいね」って笑ったルアがあまりにも可愛かったから、思わずぎゅっと抱きしめた。



『それから、ロイヤル部のお姫様。

帰宅前に理事長室に立ち寄るように』



それじゃあ解散、と理事長はやわらかい笑みを見せて話を終わらせた。

その一言で各自解散して良いようで、男子生徒たちは順番に帰っていくけれど、残っている女子生徒たちのこちらに向けられる熱視線が凄い。



っていうかわたし、

なぜか理事長に呼び出されたんですけど。