っていうか、この子。

どこかで、見たこと……あるよう、な。



「……どうしたの? 南々瀬ちゃん」



「あ、えっと……

なんか、見たことあるような気がするなって」



勘違いかもしれないけど、なぜかすごく引っかかる。

家が近いみたいだし、偶然街中ですれ違っただけかもしれないけど。だけどなぜか、とても引っかかる。──最近じゃなくて、もっと、前。



「呉に南々瀬のこと聞いてやろうか〜?」



「ううん、わたしの勘違いかもしれないし……」



日本にもどってきてまだ1ヶ月ほどしか経っていないから、わたしの記憶が正しければ、留学する前のことだ。

その頃のどこで見たんだろうかと、ふつふつ考えていたら。




「お邪魔しまーすっ」



扉が開いて、顔をのぞかせたのは今日も綺麗ないくみさん。

いつみ先輩が途端に顔をしかめたけれど、今日はそのいくみさんの後ろにももうひとり、別の人物が立っていた。



「……大和?」



「ここに来る途中で木崎くんとばったり会ったのよ〜。

荷物たくさん持ってたから、持つの手伝いましょうか?って声かけてくれたの。あ、木崎くん、そのへんに置いてくれていいから」



そう言われた大和は、持っていた大きなダンボールを床に置く。

なにが入っているのかと首をかしげたら、「夏休み中の生徒会の仕事の一部ね」だそうだ。……そのダンボールかなり大きいけど一部なの?



振り返れば数人青ざめてるし。

っていうか夏休み中ってことは、夏休みにも学校来なきゃいけないのか。特に用事もないからいいんだけど。



「あっ、そうだ大和」