「お前が受けたのは、莉央と同じ特進のテストだ」
「……またですか」
入学する時にこなしたテストは確かに特進のだったけど、まさか今回もすり替えられてるとは。
あれ?でも、と答案を確認すれば『普通科』と書かれている。試しに莉央のを見せてもらったら、そっちは『特進科』と書かれているけれど、内容自体はまったく同じだった。
「特進のテスト受けて満点とかありえねーだろ」
「でも莉央だって880点ってことは、
20点しか落としてないんでしょう?」
「そうじゃねーよお前が満点なのが問題なんだよ」
そうは言われても。
もちろんわたしがカンニングをしたわけでもなければ、誰かがわたしの点数を細工したわけでもない。正真正銘自力の点数だ。
「通ってた中学は普通の公立なんだろ?」
「はい」
「……ななせ、ご両親はなにしてる人?」
ぎゅう、と。腕に絡んでくるルア。
そのやわらかい髪を撫でながら、特に隠すことでもないから、たった一言「研究者」と答えた。
「研究者?」
「はい、ふたりとも研究者です」
よく両親が教師なの?と聞かれることもあるけど。
わたしの両親は研究者で、家にいないのもそのためだ。ほとんど研究施設にこもりきりで、たまに連絡があるくらい。



