──そんな話をしていた、約10日後。
数日かけて受けたテストが終了した。この学校では全員が心待ちにしているからと、4限目に全教科のテストが一斉返却され、昼休みに学科ごとと学年ごとの成績トップ100が貼り出されるらしい。
なんでもロイヤル部にあるパソコンなら同じものが部屋から出なくとも見れる、ということなので、返されたばかりのテストとバッグを持って昼休みにC棟へと向かう。
途中で、同じように教室に行っていたらしい椛とばったり遭遇した。
「来週にはもう夏休みだねえ」
「……そうね。
みんなは夏休みも寮で生活するの?」
「ん〜、大抵そうじゃねえ?
俺は夏休み中ほとんど実家にいるけどねえ」
「実家?」
ということは、学校にはいないのか。
遠いの?と聞けば、椛は「ううん」と首を横に振った。ここから徒歩で通える距離で、別に家から通学できない、というわけではないらしい。
「弟がふたりと、妹がいんのよ」
「……え、椛ってお兄ちゃんだったの?」
「俺の面倒見の良さはどう考えても兄貴でしょうに。
夏休みでも親は仕事あるだろ〜?だから、かわいい兄妹の面倒見んのは俺のオシゴト」
……ああ、そういうこと。
面倒を見る、ってことはまだ幼いのか。「何歳なの?」って聞いてみたら、中3の弟と、3歳の双子がいるらしい。
「双子……」
「俺って何かと双子に縁があるらしいわ〜。
まあウチは男の子と女の子の双子だから、二卵性だし似てねえんだけどな」
かわいいんだよ〜、と言ってるあたり、とても溺愛しているらしい。
スマホの画像フォルダは愛らしい弟妹であふれてるらしい。テストの結果を確認してから、写真を見せてくれるようで。



