第一も第二も関係なく。
自分が王子になってしまえば、ルアくんが比較した呼び方をされることもなくなる。
「ルノくん……
そうやって、ルアくんがいつもどってきてもいいように、努力してるんじゃない……?」
「………」
「ルアくんがもどってきたときに、傷つかないように、って。
……そうやってお互いに傷ついてほしくないって、思ってるのよ」
ルノくんの噂は褒められるものが多い。
そしてルアくんは対照的。口に出すことはないけれど、塞ぎ込んでも悪い噂が覆ることは、残念ながら無かった。──それなら。
「ねえ、どうせ、悪く言われてしまうなら……
ふたりで立ち向かった方が、よっぽど強くなれると思わない?」
ぎゅっと、ルアくんの手を両手で包む。
残念ながらただの名字だけで『姫』なんてものになってしまったわたしには、解決策なんていう素敵なものを導き出せるような脳はない。
けれど。
「ルアくんが出てきてくれたら、ルノくんの笑顔が絶対に増える。
そしたらルアくんも、それを見て笑顔になれるでしょう?」
「……、うん」
「悪いことが共鳴してしまうなら。
いいことが共鳴したって、いいじゃない」
それでも繋ぎ止めたいと思うことは、間違いだろうか。
何も知らないのに口を出すのは、無責任かもしれない。だけど知ってしまったことを知らないフリなんて出来ない。
「ルノくんのために、傷つかないように塞ぐんじゃなくて。
ルノくんのために、しあわせになれる方法を一緒に探そう?」
──笑ってほしいの。
たとえそれが、ルアくんの嫌う『偽善』だったとしても。