「ルア……!」
「……、ルノ」
落ち着いたら連れてくると言って、そのあと病院の先生を呼んで椛は帰っていった。
検査したら本当に大したことはなかったけれど、過保護な両親は「家にいたら安静にしないから」という理由で、病院に数日入院させた。
ルノが来たのは、病院に運ばれた二日後。
ノックの後開いた扉から顔をのぞかせたルノの声はほかの患者さんに迷惑になりそうなくらい大きかったけど、あとから入ってきた椛がそれを注意することはなかった。
「痛いとこ、は?」
「軽い打撲だけで、骨も折れてないよ」
すでに椛から聞いて知っていたはずなのに、ほっと胸をなでおろすルノ。
ベッドに座っている状態のぼくの肩に額をつけて、ルノは「ごめん」と小さく謝った。
「……俺のせいで、ごめん」
「……なんで、ルノのせい?」
「双子だから……、俺が、いるから。
ルアはいつも比べられて、傷つけられて……」
……どうして、それでルノが謝るんだろう。
双子だけど。良し悪しを比べた時に、有能なのがルノの方なら。本当に迷惑をかけているのは、ぼくの方じゃないんだろうか。
「ごめん。……ごめん、ルア」
肩に、ルノの涙が浸(し)みていく。
いつだって傷ついても涙を見せなかったルノが、泣いてる。──ぼくのせいで、泣くほど、傷ついてる。
「……顔あげて、ルノ」



