「……あんまりサボってると、
内申点で受験落ちても知りませんからね」
「え、もしかしてるーちゃん俺のこと心配してくれてんの?
やだもうツンデレさんだなぁ。かわいいわ〜」
「……脳内いつも幸せそうで良いですね」
ほんとうは椛のこともすごく好いているのに、なんでもないように扱うルノ。
それさえ知った上で楽しげに笑った椛は、「大丈夫だよ」と表情を引き締める。その姿がとても、大人に見えた。
「俺のかわいい弟ふたりと妹のためにも。
……受験落ちて迷惑かけるようなことしねえから」
「……そうですか」
ふざけてるように見える……いや、実際本気でふざけていることが多いけど。
それでも椛は、ぼくたち双子の"先輩"だった。
ひとつの年の差なんてあっけないはずなのに。
ふとしたときに見せる表情が、年上だった。
「……どこ受けるんですか? 受験」
首をかしげて問うルノ。
クォーターのはずなのにふたりとも髪だけは黒で。それをさらりと揺らしたルノに、口角を上げた椛は「王学」とみじかく答えた。
「……本気で言ってます?」
「本気だけど?」
「いや、王学って……
椛先輩ならほかにも行けるところたくさんありますよね?それなのに、」
「お前らの面倒だれが見るんだよ」