希望通り、わたしは桃で。

ルアくんは「ぶどうがいいな」って言ったから、彼はそれ。お互いに向かい合ってゼリーをもくもくと食べながら話すのは、ロイヤル部のこと。



「ななせは、みんなのこと……すき?」



「……うん、すきよ」



「ふふっ、それならよかった。

ここのみんなは……言いたくても言えないこと、たくさんあるから。みんな、ぶきようなんだよ」



「……うん」



ルアくんは?って。

聞こうとして、聞いちゃいけない気がして、聞けなかった。みんなのことを好きかどうかなんてわかりきったことじゃない。



ずっと気になっていた、

部屋から一歩も出てこないその理由。




「……きになるなら、言ってもいいんだよ」



「………」



またも見透かしたようにそう言われてしまった。

感情にさといルアくんは、わたしが考えていることなんてお見通しで。ごめんねと一瞬謝ろうとして、言葉をのみ込んだ。



「……部屋から、出てこない、のは?

ルノくんも椛も、いつもすごく心配してる」



一緒にいるようになれば、当然共有する時間が増える。

椛は毎回食事をルアくんの分も作るし、それを運ぶのは双子の兄であるルノくんの仕事。それを知っているから、誰も口をはさむことはしない。



ルアくんが、ルノくん以外を受け付けないから。

どこかそれに対するあきらめでもある。



「……ルノが、ぼくのところにくるのは。

心配じゃなくて、ただの、罪悪感だよ」