「よく間に合ったな。」
帰り際、コウジュンはケイジュンにささやいた。
ケイジュンはにっこり微笑んで見せた。




城下では天からのラドゥールの噂がさらに熱を増していた。
矢に倒れたという話に驚きが上がったけれど、間一髪のところで免れ、回復に向かっているという話に歓声が上がっていた。そして誰からともなく皆が口を揃えて言うのは、天からのラドゥールを正妃に、ということだった。その声は町中に広まっていった。

噂が広まるちょうどその頃、美しい尼僧が街角に立っていたがー、
その姿を気に留めるものは誰もいなかった。



国王は事態を静観している。

しかし皇太子リジュンと大臣ガエンザはそうはいかなかった。