タケルが淡く光っていた。


「あれ?」

タケルが呆然としている。

「タケル!子守花から離れて!」

タケルは子守花の上に乗っていたのだ。

香澄が降りてきてタケルを私ごと引っ張った。

すごい力だった。

タケルも「しまった!」と言う顔で慌てて起きた。

私たちは斜面の上に上がるとタケルを見つめた。

少しずつ光は消えていった。


「な、何?」

私が聞いたが、香澄もタケルも聞いていなかった。

タケルは座り込み両手両足を広げたまま、自分の身体を見て呆然としている。

香澄も前に手をついて座り込み、タケルを見ながら、息を切らしている。


「こっちのには霊力無いはずなのに…」


香澄が子守花を見てつぶやいた。


「ねえ!今の何なの!?」

私は叫んだ。

タケルはまだ自分を見たままだ。

香澄がゆっくりこっちを見た。

何かを躊躇していたが、口を開いた。


「タケルは子守花に触れちゃいけない。触れると、消えるの…」


「え?」


私は香澄の言ったことの意味がわからなかった。


「消えるって…何?なんで?何が?」

自分でも聞きたいことがいっぱいあって、何を言っているかわからなかった。


香澄は息を整えながら、光が完全に消えたタケルの方に向いて声をかけた。

「タケル、もう大丈夫だと思う」


「…ああ」


タケルは仰向けに寝っ転がった。

その表情には真剣な何かがあった。


「香澄…」

私は懇願するように香澄に声をかけた。

香澄は身体を起こして、ぺたんと座りこんだ。

一旦、夜空を見上げると、大きく息をついて、そして私の方を真っ直ぐ見た。


「落ち着いて聞いて」

香澄の眼差しにはこれ以上ない真剣さがあった。

私も大きく息を吸った。


「わかった」


そして香澄の言葉を待った。