「調べるのは、もういい」

私も二人の前にぺたんと座り込んで、笑顔で言った。

「皆美、でも…」

香澄は何か言いたげだ。

「香澄もタケルも、本当にありがとう。でも、本当にいいの」

「…納得できたのか?」

「うん。『わからない』ってことがわかった。でも、それでいいよ」

「でも、ちゃんと調べないと…」

「調べないと?」

私に聞き返されて、香澄が一瞬ハッとした顔をした。

「香澄、皆美は『納得した』って」

タケルが香澄の肩に手を置いた。

香澄は言葉を探すように言った。

「そうか…そうだね」

よくわからないけど、香澄も納得したようだ。


「あとは、子守花をこの目で見ることができれば、そこに存在すれば、それでいい」

「それで、物語は書ける?」

香澄が私を真っ直ぐ見た。

「うん。きっと書けるよ」

「そっか」

私の表情を見て、二人とも安心したようだ。



「じゃあ、帰ろうか」

そう言ってタケルが立ち上がった。