気が付くと、見覚えのある道を走っていた。
村へのバス道だ。
山並みの感じ、つぶれてから10年以上経っている店、ブロック作りの小さなバス停に書かれた「森川口」…前を見ると、見えた。
守神山だ。
村が近い。
運転している香澄を見ると、その顔には笑みがなかった。
というより、今まで見たことがないほど、沈んだ表情だった。
運転自体、さっきの運転が嘘のように、ゆっくりと走っている。
まるで誰にも気付かれないように、目立たないように。
でも、さすがにこのまま村の真ん中を突っ切れば、誰かに見られてすぐに話題になるだろう。
香澄は、村への道の途中で左折した。
「あ、この道は…」
「皆美、起きた?」
「起きた?って、私寝てたんじゃないよ…」
私は引きつった笑顔で答えた。
「ごめんごめん」
香澄はいつものぽや~んとした雰囲気と笑顔に戻っていた。
香澄は何かに耐えている。
それを私には見せないようにしてくれてる。
私にはそうとしか思えなかった。
「この道、タケルんちへ行く道だよね」
「うん」
「そうだね。それがいいかも」
私がそう言うと、ルームミラーに映った香澄がにこっとした。
この道は守神山への二つある登山道の一つと繋がっている。
もう一つは森川家のところから登る本来の登山道だ。
村の手前から登れるこの道の途中に、というより、行き止まりにタケルの実家、大和家がある。
大和家の横から登山道になるのだ。
守神山への本来の登山道は森川家が守っているように建っている。
こっちの道も大和家が守っているように建っている。
以前はやっぱり、道をまたぐように建物が建っていたらしいとタケルのじっちゃんが言っていた。
守神山へは、普通に登山する人はいない。
登山道の入り口には「危険 村役場の許可なく入山禁止」と書かれた立て札があり、木で作られた柵が人を拒んでいる。
小さい頃はただ「危険」だから入っちゃいけないんだと思っていたが、今は「何かを守るために入ってはいけない」、そう感じていた。
村へのバス道だ。
山並みの感じ、つぶれてから10年以上経っている店、ブロック作りの小さなバス停に書かれた「森川口」…前を見ると、見えた。
守神山だ。
村が近い。
運転している香澄を見ると、その顔には笑みがなかった。
というより、今まで見たことがないほど、沈んだ表情だった。
運転自体、さっきの運転が嘘のように、ゆっくりと走っている。
まるで誰にも気付かれないように、目立たないように。
でも、さすがにこのまま村の真ん中を突っ切れば、誰かに見られてすぐに話題になるだろう。
香澄は、村への道の途中で左折した。
「あ、この道は…」
「皆美、起きた?」
「起きた?って、私寝てたんじゃないよ…」
私は引きつった笑顔で答えた。
「ごめんごめん」
香澄はいつものぽや~んとした雰囲気と笑顔に戻っていた。
香澄は何かに耐えている。
それを私には見せないようにしてくれてる。
私にはそうとしか思えなかった。
「この道、タケルんちへ行く道だよね」
「うん」
「そうだね。それがいいかも」
私がそう言うと、ルームミラーに映った香澄がにこっとした。
この道は守神山への二つある登山道の一つと繋がっている。
もう一つは森川家のところから登る本来の登山道だ。
村の手前から登れるこの道の途中に、というより、行き止まりにタケルの実家、大和家がある。
大和家の横から登山道になるのだ。
守神山への本来の登山道は森川家が守っているように建っている。
こっちの道も大和家が守っているように建っている。
以前はやっぱり、道をまたぐように建物が建っていたらしいとタケルのじっちゃんが言っていた。
守神山へは、普通に登山する人はいない。
登山道の入り口には「危険 村役場の許可なく入山禁止」と書かれた立て札があり、木で作られた柵が人を拒んでいる。
小さい頃はただ「危険」だから入っちゃいけないんだと思っていたが、今は「何かを守るために入ってはいけない」、そう感じていた。


