夕焼けの中、二人で並んで歩いた。

ふと気付くとタケルが何やら口ずさんでいる。

「あ、タケル、まさかその歌は…」

「な、なんだよ!?」

タケルがしまったというような顔をして振り向いた。

あの時のヒーローの歌だった。

私は吹き出した。

「なんだよぉ~」

私はまたすねかけたタケルの左手を握った。

「歌えばいいじゃん。さ、帰ろ」

また引っ込めようとしたタケルの手を、私は離さなかった。

タケルは少し固まっていたが、あきらめたのか引っ込める力を抜いた。

そして、軽く私の手を握りかえしてくれた。

やっぱり、その顔が赤いのは夕焼けのせいか、違うのか、わからなかったが、もうどうでもいいことだった。