「じゃあ、『よみがえり』については?」

タケルが聞いた。

男は、少し考える風にした後、書棚の所々から、10冊ほどの本を取り出し、タケルに渡した。

「ここにあるのはこれだけだ」

「すっげー…本当に知ってるんだ」

「日本書紀と古事記にも記述はあるが、それはいるのか?」

「いえ、それはいいです」

私は答えた。

「そうか。読んだら、元の位置に戻しておけ」

男はそう言うと、くるっと背を向けた。

書棚の角を曲がる時、もう一度私たちを無表情に見て、そして去っていった。


「怖かったぁ…」

「変なやつだな」

「でも、助かったね」

私はタケルが抱えている本を見て言った。

「そうだな」

タケルも思い直した感じで言った。

本を探すのに飽きていたらしい。


司書だという男が出してくれた本を見ていくと、確かにどの本にも『よみがえり』の記述があった。

すごい…本当に全部知っているんだ。

と言うことは、彼が言う以上、これだけある蔵書でも子守花やお子守様について書かれているものがないということだろう。



全部読み終えた時は既に夕方だった。

「やっぱりちょっと違うね」

私はつぶやいた。

「そうだな」

タケルが気だるそうに頬杖をつきながら言った。