もう泣いてもいいよね

「皆美ー!」

タケルだった。

「タケルー!」

思いっきり叫んだ。

「皆美!どこだ!?」

「こっち!崖の洞穴!」

懐中電灯を持ったタケルはすぐに私を見つけてくれた。

「タケル!」

私はタケルに抱きついて泣きじゃくった。

「もう大丈夫。この辺はおれ知ってるから」

「でも、父さんが…」

「聞いたよ。…おまえ、子守花を取りに来たんだろ?」

「…うん」

「そうだと思った。だから、おまえがいなくなったって聞いて、山だと思ったんだ」


タケルは少し考えていたが、私に言った。

「おれが取ってくる。おまえはここにいろ」

「でも…」

「心配すんな。おれ、場所を知ってるんだ」

「でも、こんなに真っ暗だよ」

「大丈夫。この懐中電灯は最新式だぞ」

確かにタケルの持つ懐中電灯は明るかった。

「本当に大丈夫?」

「任せとけ。皆美はおれが守ってやるから」

「うん」


タケルはそう言って子守花を取りに行った。


その1時間後、私は捜索隊に助けられた。


その後から、タケルと会った記憶がない。