明るい陽射しの中、公園のそばを通りかかった時、目の前を赤いボールがてーんてーんと転がっていった。

私はそのボールの規則的な跳ね方に目を奪われた。

ボールは少しずつ跳ね方を小さくしながら道路へと跳ねていった。

何となく淡いパステルカラーのイメージの中、その赤色はくっきりと見えた。

ぼーっとそのボールを追いかける私の視界の中に、小さな女の子が入ってきた。


「え?」


その子は慌てた顔でボールを追いかけている。

「危ない!」

私はその子を追いかけながら道路の先を見た。

ダンプが来ている。

「なんで!!」


女の子を見ると、既に道路にいた。

そして、驚いた顔でダンプを見つめたまま固まっている。


赤いボールは反対側の歩道に転がっていった。



私はスローモーションになった思考の中で、はっきりとダンプの運転手を見た。

携帯をいじっていて前を見ていない。

私は道路に飛び出し、女の子を突き飛ばした。


私にできることは、そこまでだった。


道路で全身を打ち、気が遠くなりながら横を見ると、視界一杯にダンプがあった。

運転手はまだ携帯をいじっている。


「もうだめだ…」


もうろうとした意識の中、目をつぶった時、誰かが私をかばうように抱きしめた様な感じを受けた。


小さな身体だ。


私は女の子の方を見た。

彼女は転んだままこっちを見ていた。

私のそばには誰もいない。

それでも誰かが私をかばっている。


「だれ?」



その瞬間、ダンプが私を壊した。