私と二人の物語

「えっと、あなた、どこかでお会いしたような…」

「え?」

「武井さん?…もしかして、あの武井病院の?」

奥様は思い当たったように言った。

「え?あ、…はい」

「ああ、やっぱり!武井院長の娘さんよね?」

「あ、はい」

私は諦めて答えた。

横で悟が「そうだったのか」みたいな顔をしていた。

「ああ、やっぱり。見たことがあると思ったわ」

「父をご存知なんですか?」

「ええ、うちの掛かりつけだから、いつもお世話になっているわ」

「あ、そうだったんですね。こちらこそ」

「奥様、とりあえずそちらにどうぞ」

悟が会話を止めるように、応接テーブルのところに座るように促してくれた。

「そうね」

奥様は、本来の用事を思い出したように座った。