私と二人の物語

翌日の午後、悟の家に行き、いつものように店の方から入ると、カウンター内の机の上に白木の箱が置かれていた。

「これから持って行くの?」

私は上に上がると、アトリエにいた悟に声を掛けた。

「いや、取りに来るって言うんだ」

「そうなんだ」

私は清水家とやらの奥様に会えるのは興味があった。



少しわくわくした気分で待っていると、ブザーが鳴った。

悟と私は顔を見合わせると、店に降りた。

悟の後に続いて暖簾を潜ると、カウンターの向こうに上品なベージュのスーツ姿の年配の女性が立っていた。

清水家の奥様らしい。

「こんにちは」

「お待ちしていました」

少し安心したような表情の奥様の挨拶に、悟も同じような声色で応えた。

「いらっしゃいませ」

私は奥様と目が合ったので、そう言うと頭を下げた。

「こちらの方は?」

「ああ、今、ちょっと店を手伝ってもらっています」

「武井といいます」

私は再度頭を下げた。