私と二人の物語

「じゃあ、なんで箱に『からくり箱』って書いてたのかな?」

私が言うと、悟が少しがっかりしたような表情で私を見た。

「それだよ、それ。その表書きが『からくり』だったんだよ」

「あ、なるほど…」

固いとはいえ、普通に上に開く箱を、簡単に開けさせないようにする仕掛けか。

そして、中に入っていたのは、ただの手紙だった。

一度開けられてはいるが、人の手紙だし、中を読む訳にはいかない。

ただ、

『母がとても大切にしてて、誰にも触らせなかったものなの。だから、とても高価なものかと…』

奥様は、そう言って持ってきたらしい。

そして、手紙に書かれた宛名と、裏の差出人を見れば中身は想像がついた。

だからこその『からくり箱』なんだと思う。

「そうだね。きっと」

私もそう言うと頷いた。


悟は、明日にでも清水家に持って行くと言った。

勉さんには、悟が電話で箱が開いたことを伝えていたが、そのやり取りから、電話の向こうの勉さんの表情が想像できた。

「唖然としてた」

悟が言った。

「だろうね…」

私は苦笑した。