私と二人の物語

翌日の午後、悟の家に行くと、彼は居間のソファに座って例のからくり箱を開けようとしていた。

「やっぱり開かない?」

私はコートを掛けながら聞いた。

「ああ…。無理やりって訳にはいかないしね」

悟はその箱を敷物の上に丁寧に置くと、キッチンの方に行った。

「珈琲でいい?」

「うん。ありがとう」

私はからくり箱の前に座ると、バッグを横に置いた。

箱根で見るのより少し色が黒っぽいけど、その紋様とかは似てる気がした。

「ねえ、これ触ってみてもいい?」

「ああ、いいけど、気をつけてね」

「はあい」

私はからくり箱をそっと手に取った。

見た目よりは軽い感じ。

紋様の境目とかじっくり見てみたけど、辛うじて隙間があるのは、真横から見た時の真ん中の横のライン。

それが一周している。

そこをいろいろズラしてみたけど、力もそんなに入れられないとはいえ、まるで動く気配はない。

「あ、そっか。ズラすのは秘密箱で、これはそれじゃ開かないんだった」

私はゆっくり揺らしたり傾けたりした。

確かに中で何かが動く音がする。

この中身がどこかにハマったりすると鍵が外れたりするのかな?

私は微妙に傾けたりしていた。