「何か変わったことはありますか?」

「いえ、特に」

「薬はちゃんと飲んでます?」

「はい」

「今は何ともないかもしれませんが、やはり、頭を手術したというのは特別なことです。後遺症が出るのを抑えるために、まだしばらく飲んでくださいね」

「…はい」

私は少し面倒くさいという感じを出してしまった。

篠田さんがくすっと笑った。

「…すみません」

「いえ」

私はその笑顔に少し気持ちが軽くなった。

「姉の…」

「え?」

私は言い掛けてやめたけど、篠田さんが反応したので、

「姉の、気持ちがわかるかもしれません」

と、続けた。

「どういうことです?」

篠田さんが少し真面目な表情を見せた。

「いえ、ふと思っただけです」

私は少しごまかすように首を振った。

「そっか。それは、良いことですね」

篠田さんはまた笑顔になった。

合わせてくれたことはわかった。

私は、そんな篠田さんに笑顔で応えた。