私と二人の物語

「えっと、天気のせいかもしれません」

「そうですか?」

篠田さんが振り返ってブラインド越しに窓の外を見ると、来た時とは違って曇っていた。

「あ、さっき来る時は晴れてて…」

「いえ、そういうの、いいと思いますよ」

篠田さんは優しく微笑んだ。

姉が生きていた時は、彼も医者としての努力をしている頃で、あまり会うこともなかったのでよくわからなかった。

でも、姉が亡くなってからは、主治医でもあるし、診察で会うことも増え、はっきり私を気遣ってくれることとか、その優しさが増えた。

姉との婚約と言っても、まだ形式上という感じだった。

姉が亡くなった時、彼はまだ30才。

姉も大学を卒業した年で、結婚はまだまだ先だと思っていたはず。

実際、特に交際と言えるようなことはなかった。

だから私は「姉の婚約者だったから」ということを、断る理由にすることはできなかった。

それに、まだその話は正式には出ていない。