私と二人の物語

彼の考えていることは、わかった。

そう、今日は今日だけ来る理由があった。

私には「いつものこと」の始まりだったけど、彼にはまだこれは再び「いつものこと」ではなかった。

私は、表立った理由なんて関係なく、なるべく二人が一緒だった頃のコトを知りたかったし、今これを見て新たに目標が見つかった。

彼にこの絵を完成させてあげなくてはいけないと思った。

ただ、それを言うと「完成するともう来ない」と思わせてしまうので言うつもりはなかった。


でも、この先、「記憶のない私」はどうするの?

この先に進むことが、今さらながら怖かった。

こうして、実際に彼を知ってくると、後悔の念が膨らむのがわかった。

でも、もう始めてしまったのだから、後には引けないのも確かだった。

私の中での「失われた物語を書き上げる」という目標は自分のためのもの。

でも、彼のためにという目標も少し見えた。

彼がこの絵を完成させること。

それは必ずやり遂げないといけない目標だと思い直した。