私と二人の物語

数日後。

篠田は北野堂の前に立っていた。

あのノートに店の名前が書かれていたから、あとは調べればすぐにわかった。

どうするかは、彼に会ってからだった。

カラン。

ドアを開けると、ベルが乾いた音を鳴らした。

そして、2階ではブザーが鳴ったようだった。

「は~い」

そう言って奥から出てきたのは、若い女性だった。

篠田は、あのノートに書かれていたつくしという娘かと思った。

実際、そのとおり、彼女はつくしだった。

本来なら卒業の年だったが、悟のことがあったから、将来を決めかねて、大学に残ったのだ。

今日は、悟に絵を教えてもらうために帰ってきていた。

だが、篠田には、そんなこととは知る由もなかった。

(今は彼女と一緒に暮らしているのか?)

そう思った。