私と二人の物語

「篠田さん、お待たせしました!」

私は軽く息を切らしながら、彼の前にカヌレを置いた。

「走ったんですか?そんなに慌てなくても良かったのに」

彼はいつものように優しく苦笑していた。

私も一度逃げたのと走ったおかげで、さっきの動揺はなくなっていた。

替わりに息が切れているけど。

「お嬢様、お疲れさまでした」

私の帰りを見計らったように、好江さんが珈琲を持ってきてくれた。

「ありがと。こっちのは好江さんが食べて」

私はテーブルのより少し小さめの箱を彼女に渡した。

「わあ、ありがとうございます」

好江さんは、本当に嬉しそうに奥へ下がって行った。

「じゃあ、どうぞ」

私は箱を開けると、篠田さんの前に差し出した。

「では、遠慮なく。…お、美味い!」

「でしょう?」

私達は美味しいカヌレと珈琲で笑顔になった。