私と二人の物語

そして、その力が抜けた。

「ねえ…」

「はい」

私は素直に彼に視線を向けた。

彼も素直に私を見た。

「俺が六甲駅で抱きしめた時、なぜ驚いたり振りほどいたりしなかったの?あの時は俺が誰かってわからなかったんだろ?」

「だって、あなたは私を美緒と呼んで優しく抱きしめたから…。その瞬間、あなたが姉の恋人だった人だとわかったから」

「じゃあ、なぜ、…美緒のフリをしたの?」

「それは…、あんな風に死んだ姉とあなたの時間を知りたかった…そして、あなたを知りたかったんです」

「それなら、素直に聞けばよかったのに」

「だって、それだと、美緒が…、姉が死んだことを伝えないといけなかったから…」

「そっか…、美緒って呼んでたんだ」

「あ、…はい」

「そうだよね、姉妹って言っても、双子だもんな」

悟が少し笑った。

「確かに双子ですが、本当は、性格はまるで違うんです」

「うん、そうかもしれないね」

「じゃあ、なぜ?」

私は、はっきり言葉にできなかったけど、なぜ気付かなかったのかという意味で聞いた。