私と二人の物語

「頼む。もう嘘はつかないでほしいんだ」

静かな言い方だけど、強い言葉だった。


「…ごめんなさい」

私は胸を押さえて息を整えた。

「その口論の理由は…、父の決めた婚約者と結婚しろと言われたからです」


「やっぱり、そうか…」

悟には想像していた答えだった。

「あの美緒が、家を飛び出すほどの口論の理由…。病院の理事長の娘で、長女で、特に働いてなかったこととか、そういうことだと思った」

私は悟を見た。

「結局、美緒が死んだのは俺のせいだ」

「それは!それは違います!悟のせいじゃ…」

呼び捨てにしたことで、言葉が詰まった。

でも、彼はそんなことはどうでもいいかのように手を握りしめていた。

私はその手の力が抜けるのを祈りながら待った。

私はずっとその手を見ていた。

それしかできなかった。