私と二人の物語

私は自宅から南に歩いて15分くらいの菩提寺に彼を連れて行った。

連れて行く間、何も会話はなかった。

「ここです」

私はまだ新しいと言えるその墓を見つめた。

墓碑には特に名前は彫られていないが、父が用意したこの墓にはまだ美緒しか入っていないはずだった。


悟はしばらくその墓を見つめていた。

「私は向こうで待ってます」

私は、そう言うと頭を下げてその場を離れようとした。

「ありがとう」

悟は、私の背中にそう言った。

その言葉は、今の私と悟の距離を表していた。

私は一瞬立ち止まったけど、はっきりとは振り向かず、もう一度頭を下げて寺の本堂の方に歩いた。