私は返せなくなったハンカチを見つめていた。
「お嬢さま?…お嬢さま?どうなさったんですか?」
部屋の外から好江さんの心配する声が聞こえた。
そういえば、姉が生きている頃は、それぞれ「美緒お嬢さま」と「美結お嬢さま」と呼ばれていた。
今は、ただの「お嬢さま」で事足りていただけ。
私はドアのところまで行くと、開けないまま、
「好江さん、大丈夫だから。独りでいたいの」
と、何とか聞こえる程度の声で言った。
「晩ご飯は、どうされるんですか?」
「ごめんなさい。今晩はいいから」
「…わかりました」
好江さんが戸惑いながら戻ろうとしたのがわかった。
私も机に戻りかけたけど、
「お嬢さま」
好江さんがドアの向こうに戻ってきた。
「私は、いつでもお嬢さまの味方ですから、なんでもおっしゃってくださいね」
「好江さん…、ありがとう」
「では…」
今度は、本当に降りていった。
「お嬢さま?…お嬢さま?どうなさったんですか?」
部屋の外から好江さんの心配する声が聞こえた。
そういえば、姉が生きている頃は、それぞれ「美緒お嬢さま」と「美結お嬢さま」と呼ばれていた。
今は、ただの「お嬢さま」で事足りていただけ。
私はドアのところまで行くと、開けないまま、
「好江さん、大丈夫だから。独りでいたいの」
と、何とか聞こえる程度の声で言った。
「晩ご飯は、どうされるんですか?」
「ごめんなさい。今晩はいいから」
「…わかりました」
好江さんが戸惑いながら戻ろうとしたのがわかった。
私も机に戻りかけたけど、
「お嬢さま」
好江さんがドアの向こうに戻ってきた。
「私は、いつでもお嬢さまの味方ですから、なんでもおっしゃってくださいね」
「好江さん…、ありがとう」
「では…」
今度は、本当に降りていった。