つくしは、走って坂を下っていった美結の背中をキツい眼差しで睨みつけていた。

でも、彼女が角を曲がって見えなくなると、その表情はだんだんと消えていった。

つくしは、しばらく何かをがまんするように無表情だった。

そして、我慢できなくなった。

見る見るうちに涙が溢れたが、彼女は立ち尽くしたままだった。

本当は、事実を確認したくはなかった。

今、目の前を走り去った「彼女」と、この半年、いろんな思い出を作ったのだ。

そして、死んだのが美緒さんだったということ…

これが事実だったとして、それを悟に知らせる必要があったのか…

知らせないまま、何とかできたんじゃないか…

悪いのは美結だとしても、私はとんでもない過ちを犯してしまったんじゃないのか…

今度は私自身が悟を苦しめただけなんじゃないか…

そんな後悔の念が、今、自分の胸を締め付けていた。

だから、胸を押さえて立ち尽くしたまま、流れる涙を無視して、崩れるのに耐えていた。