私と二人の物語

彼女を見送った後、私たちは部屋に戻った。

私は、アトリエのところまで歩いて行くと、もうキャンバスのないイーゼルを見つめた。

「美緒?」

私は振り返って傍に来た悟の顔を一度見た後、またイーゼルに視線を戻した。

悟も横に並んでそのイーゼルを見た。

「ここに絵がないってコトが、なんかまだ実感がわかなくて」

「そっか」

「ほんと、時間掛けさせちゃってごめんね」

「いいさ。絵は完成して、もうあの場所に飾られているんだから」

「そうだね…」

私はその言葉に、一番奥に飾られたあの絵を思い浮かべた。