私と二人の物語

悟はホームの駅名を見た。

「家はこの近く?」

「え?知らないんですか?いや、知らないの?」

私は慣れない言葉を言い直した。

「うん、何か事情があったようで、当時は教えてくれなかった」

事情……

何となくわかったけど、病院と自宅は最寄駅も違うし、町名はまずいにしても、どの辺りに住んでるかまでは秘密にする必要はなかったと思う。

とりあえず、どんなことを黙っていたのかわからないので、私がいろいろ話すのも、彼の話を聞いてからにしようと思った。

「じゃあ、ごめんなさい。理由を思い出すまで、内緒ということで」

「うん、わかった」

彼は躊躇なく答えた。

そんな人なんだ…


私はくすっと笑ってしまった。

それを見て彼も微笑んだ。

きっとこんな時間が流れていたんだろう。