「亮。調子悪い?」




 顔を覗き込む咲良に、不意打ちのキスをする。
 驚いて顔を真っ赤にするところが可愛らしい。




「は、早く起きてよ! お弁当出来てるよ!」

「今日のメニューは?」

「おにぎりの中身はお楽しみってことで。早く、着替え!」




 今日、伝えなくても明日がある。
 明日が駄目でも1週間後、1年後。
 永遠に未来が先にある。



 そう思っていた俺は本当に馬鹿だ。



 あの事故で、咲良に想いを伝えるチャンスは巡ってこなかった。明日があると思っていたから。




「咲良、好きだ」

「なに言ってるのよ」

「咲良は?」

「……す、好きに決まってるでしょ」




 想いはちゃんと伝えたい。
 俺を幸せにしてくれた咲良にお返ししたい。



 だって俺の幸せは咲良がいなければ出来ない。
 咲良も幸せになれるはず。



 咲良の願い、無駄にはしない。