今から10分くらい前


「どういうことだよ?顔は確かに柳静香だよな。黒子の位置も同じだ」

池田は写真と見比べた。

「でも、ちゃんと身体があるぞ…」

そう言う池田を見て、赤井は何も言わなかった。

「首の所も何の傷もない」

池田は、特にそこを注意深く見た。

「すると、あの身体は別人だったんですかね?」

池田は、同じく捜査一課の部長刑事の松田を見た。

「いや、DNA鑑定で初めて柳静香だと分かった訳だからな…」

松田が言った。

「そうですよね…」

「これじゃ、解剖してみないと死因は分からないな」

松田は立ち上がると呟いた。

「ところで、何で仏さん笑ってるんだ?」

「さあ…」

池田は首を傾げた。

確かに、渕上小百合と同じ表情だと、赤井と三田村は思った。

そこで、二人はある事を思い出して顔を見合わせた。

「おい、まさか…」

「いや、そんな訳…」

松田と池田が、振り返って赤井達を見た。

二人とも、あえて特に反応はしなかった。

「いやいやいや」

池田は首を振ると、柳静香の首を確かめようと少し髪をかき上げた。